不動産投資で理想の利回りは何%? 基本の計算方法や相場など基礎知識を解説
2024.05.02

アパート建築・経営などの不動産投資において、最重要ともいえる指標のひとつに「利回り」があります。しかし、利回りにはいくつか種類があり、基準とする数字も異なることから、利回りの読み方を間違えると大きく損をすることにもなりかねません。不動産投資で目指すべき利回りの相場や、計算方法などをまとめました。

不動産投資の利回りとは

利回りはひと言でいうと「投資金額に対する収益の割合(%)」です。ある投資を行ったときに、それに対してどれくらいリターンがあったかを示す数字で、物件の収益性を表す指標としても使われます。

そのため、投資用不動産を探す際や、建てたり購入する際の判断基準のひとつとされています。利回りが0%を下回ると、いわゆる“赤字”になります。

表面利回りと実質利回り

投資に対するリターンなので「利回りが高い物件=儲かる物件」と考えられそうですが、それだけでは正確とはいえません。利回りには考え方がいくつかあり、大きくは「表面利回り」と「実質利回り」に分けられます。

◆表面利回り
表面利回りは「単純利回り」「グロス利回り」などとも呼ばれ、細かい要素を加えずに計算されます。
例えばアパート経営の場合、表面利回りは以下のように表されます。

表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

「投資に対する収益」なので間違いではないですが、建築や購入時の諸費用、アパート経営でかかる経費は考慮に入れられていません。

そのため、経営においての実際の利益とは異なり、物件の収益力を単純比較するときなどに用いられます。

◆実質利回り
実質利回りは、表面利回りの計算にかかった経費を加味したもので、以下のように計算されます。

実質利回り(%)=(年間の家賃収入-経費)÷(物件価格+諸経費)× 100

家賃収入から差し引きされる経費とは、賃貸オーナーが払う固定資産税や火災保険料、修繕費、管理会社に払う管理委託料などです。さらに、物件の価格にも仲介手数料や登記費用といった経費が加算されます。

割られる母数が小さくなり、割る数は大きくなるため、実質利回りは表面利回りと比べて下がります。その分、賃貸経営においては現実的な指標といえるでしょう。

実質利回りは「NOI利回り」とも呼ばれています。NOIとはNet Operating Income(純収益)の頭文字です。

想定利回りと現行利回りという考え方も

アパート経営などでは家賃が主な収入となりますが、常に満室とは限りません。そのため、満室時を基準に計算した利回りを「想定利回り」、現在の家賃収入に基づいて計算した利回りを「現行利回り」として区別することもあります。

想定利回り(%)= 年間の満室時家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

現行利回り(%)= 年間の実際の家賃収入 ÷ 物件価格 × 100

想定利回りよりは現行利回りのほうが現実的ですが、実質利回りのように経費は含まれていません。そのため、これらも物件の比較の際に、空室率を考慮した目安として用いられます。

投資資金は何年で回収する?

投資のなかでも長期間にわたる不動産投資。投資資金を何年で回収できるかは気になるところでしょう。単純に考えれば、利回りは高ければ高いほど回収が早く、低ければ回収に時間がかかります。

不動産投資において資金回収期間の目安は5~10年とされています。しかし、回収期間は物件や資金計画によっても異なり、一概にはいえません。また短すぎても、長すぎてもよくないといわれます。
どういうことなのでしょうか。次で計算しつつ見てみましょう。

利回りの計算方法と種類

下記の例で、所有している土地にアパートを建てた場合の利回りを実際に計算してみます。

取得費 :8,000万円
諸経費 :5%として400万円
戸数  :8戸
家賃  :8万円(年間家賃収入:768万円)
空室率 :10%
年間経費:家賃収入の20%として153.6万円

◆表面利回りの計算方法

768万円 ÷ 8,000万円 × 100 = 9.6

表面利回りは9.6%です。

◆実質利回りの計算方法
それでは実質利回りを計算しましょう。空室率も考慮した、より現実的な利回りを出してみます。

(768万円×90%-153.6万円)÷(8,000万円+400万円)× 100 = 6.4

実質利回りは6.4%です。表面利回りよりもかなり下がることが分かります。
利回りが高い方が初期投資を早く回収できますが、早期回収を目的に家賃を上げすぎたり、必要な経費をかけなかったりすると、かえって空室が増え経営が破綻しかねません。不動産投資では、長い目で見た安定経営を目指すことが成功のカギとなります。

表面利回り、実質利回り、キャッシュフロー利回りの違い

表面利回りと実質利回りは、主に物件の収益性を表すために使われる数値です。そのため、投資する人の資金力などは考慮されていません。

しかし実際の不動産投資では、100%自己資金の人もいれば、借り入れ(アパートローン)を利用する人もいます。アパートローンでも、借入金額はもちろん、頭金や金利によって毎月の返済額は変わってきます。

キャッシュフローとは最終的に手元に残るお金を指し、キャッシュフロー利回りは、税金や減価償却費などを加味して計算され、物件の判断材料というよりも投資の最終結果を表すものです。

理想の利回りは何%? 最低ラインはある?

目的によって理想の利回りや最低ラインは違う

不動産投資において理想の利回り、最低ラインの利回りといったものは存在するのでしょうか。実は、投資の目的によって利回りの目安は変わってきます。

例えば、会社勤めの方が副業で不動産投資を行う場合や、相続した土地を活用したい場合、老後に向けて安定した資産形成を考えている場合などは、利回りが低くてもリスクの少ない物件への投資がよいでしょう。

その場合、利回りの目安は3~5%程度。目に見える大きな儲けにはならなくても、空室率が低いことでリスクを軽減でき、手間や経費をかけずに安定した収入が見込めるでしょう。

もし不動産投資を本業とするのであれば、利回り5~8%あたりを目指したいところです。収益性が高い物件であれば、不動産所得だけで生計を立てていくことも不可能ではありません。

ただし、表面利回りが高い地方の中古物件などは空室リスクも高くなります。立地が悪いことで販売価格が安く、それによって利回りが高く出ている傾向があるからです。

利回りを高める戦略とは

実質利回りを高めることは、不動産投資の利益を高めることにつながります。そのためには、どのようなポイントを重視すればよいのでしょうか。

立地の重要性

賃貸経営において、立地は最重要ポイントのひとつです。公共交通機関によるアクセス(駅やバス停からの距離)、周辺施設(学校や商業施設など)の充実度をチェックしましょう。

物件の築数・仕様と賃貸需要予測

物件自体が新築や築浅であればメンテナンス費が抑えられるため、実質利回りを高くすることができます。

また、間取りや仕様がエリアの賃貸需要に合っているかどうかも検討が必要です。ニーズが高い間取りでも、周辺に競合が多ければ築年数を重ねると空室リスクが高まります。その際のリフォームや家賃見直しの必要性も合わせて事業計画を立てるようにしましょう。

耐震基準を満たしているか

1981年6月1日以降の建築であれば「新耐震基準」と呼ばれる、大地震にも耐えられる基準となっています。定義としては「震度6強の地震で倒壊・崩壊しない、震度5程度の地震で軽微なひび割れ程度」というものです。

その後、さらに2000年に耐震性を強化したものが「2000年基準」で、2000年以降の建築であれば現行の基準を満たしていることになります。

利回りを見るときに注意すべきポイント

表面利回りのみで判断しない

不動産情報ポータルサイトなどで投資物件を見てみると、エリアや価格の他、利回りでも検索できます。利回りの幅は広く、1%を下回るものから、100%を超えるものまであります。
ここで表示されているのは表面利回りです。賃貸経営にかかる経費などはオーナーによって違いもあるため、不確定な数値は計算に入れずに単純比較しています。

これまでも触れてきましたが、表面利回りで物件の収益性を判断することはできません。利回りが高い物件は多くの場合、物件価格が安く設定されており、その理由は賃貸需要が低いことや、大規模修繕の必要がある可能性を示しています。不動産投資において、利回りが高いからといって飛びつくのはとても危険な行為です。

投資初期の収益見積もりの落とし穴

アパート経営をはじめとした不動産投資では、表面利回りよりも現実的な実質利回りで収支を考える必要があります。実質利回りは「(年間の家賃収入-経費)÷(物件価格+諸経費)× 100」で計算することは前述しました。

しかし、実質利回りの計算に加わる賃貸経営の経費(ランニングコスト)と建築・購入時の諸経費(イニシャルコスト)の見立てが甘いと、「予想よりもお金が残らない」という状態になりかねません。

「利回りの計算方法と種類」の項では年間経費を家賃収入の20%、アパートを建てた際の諸経費を物件価格の5%で試算しました。
これらは一般的な目安ですが、物件によっても異なります。必ずその物件の場合を考えるようにしましょう。
諸経費と年間経費には次のようなものがあります。

初期投資費用と運用コストの見積もり

実質利回りの計算に入れる初期費用には、物件価格以外に以下が含まれます。
・不動産仲介手数料
・不動産投資ローン(アパートローン)の事務手数料、保証料、印紙代など
・登録免許税
・司法書士報酬

仲介手数料は売買の際にかかる費用で、物件価格の3%+6万円+消費税が上限です。アパートローンの手数料等は借入額や金融機関によって異なります。

登録免許税は物件の固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出します。司法書士報酬も司法書士事務所によって変わりますが、一般的には10万円程度が相場となります。

年間経費、つまり運用コストには以下のようなものが含まれます。
・固定資産税、都市計画税
・火災保険料
・修繕費
・管理委託費

このうち固定資産税と都市計画税は登録免許税と同様に、物件の固定資産税評価額に一定の税率をかけて算出します。火災保険料は1年ごとと長期(5年)の契約がありますが、契約期間が長いほど保険料が安くなります。

修繕費は、入居者入れ替わり時のリフォームのほか、10年単位での大規模修繕に備えての積立金が必要です。管理委託費は物件そのもののメンテナンスを行う「建物管理」と入居者募集や入居者対応を行う「賃貸管理」に分かれますが、これらを管理会社に委託するときに払う費用です。

ほかにも、アパートローンを借り入れる場合は毎月の返済額、税理士と顧問契約を結んだ場合はその契約料(20~30万円程度が相場)などもランニングコストとして収支に影響します。

こうして見ると、経費には物件の規模やオーナーの資金力、依頼先によって上下する項目も多く、一概に計算できないことが分かります。

利回りが低くても安心できる物件の特徴とは

利回りが高い物件=収益性が高い物件とはいえないものの、利回りが低いと「損をしてしまうのではないか」と心配になってしまうかもしれません。利回りが低くても健全経営が可能と判断できる要素にはどのようなものがあるのでしょうか。

人気エリアで買い手が多く出口戦略を取りやすい

利回りが極端に高い物件を見てみると、販売価格が格安で設定されていることがよくあります。逆に考えれば、その値段でないと売り手がつかないと判断されているのです。

将来、もし物件を売却することになっても、人気エリアで賃貸需要が見込める物件であれば価格が下がりにくく、売却後も手元に多くお金を残すことができます。売却益が出れば理想ですが、そこまででなくても出口戦略としてトータルで赤字にならない物件にこだわるようにしましょう。

資産性が高く物件の価値や家賃が下がりにくい

建物そのものの資産価値の高さも重要なポイントです。経年劣化に強い建材や古びないデザインが採用された物件は家賃も下がりにくいため、良好なキャッシュフローを保ってくれます。

また、耐震基準や断熱などの住宅性能が高い物件は、初期費用はかかりますが資産価値が下がりにくく、修繕時の国や自治体からの助成金が適用されやすくなります。

低金利で借入ができる可能性が高い

アパートローンは通常の住宅ローンと違って、事業としての収益性によって金融機関が融資の可否や金利を決めます。そのため、エリアや物件が賃貸経営を行ううえで有利だと認められた場合、ローン金利が安くなる可能性が高いのです。

物件のメンテナンスが行き届いている

適切な修繕やメンテナンスを継続することで、物件が古びず、家賃や入居率を高く保つことができます。細かな部分までしっかりと行き届いた管理が大切になります。

不動産投資を始めるのに最適な会社の選び方

もし、東京圏での土地活用や長期間にわたる安定した資産形成を目的とするのであれば、新築アパートの建築はかなり堅実な方法といえます。新築は空室率や築年数による家賃下落リスクもゼロに近づけることができるからです。

さらに、優れたデザインや耐震性を備えた建物であれば、築年数を経てからも継続した安定経営がかないます。売却や将来の相続も良い条件で行うことができるでしょう。

不動産投資を始めるならセレ コーポレーションがおすすめ

セレ コーポレーションのアパートは、耐震性と耐久性に優れた鉄骨造。 “アパート専門メーカー”として、収益性の高い建築プランを追求した独自の工法を開発しています。また、時を経ても色褪せない外観、若者のニーズをとらえた空間設計や設備で、入居率は98.5%※を誇ります。
※2024年2月期 期末入居率

土地活用のコンサルティングからアパートの設計、構造部材の製造、自社責任施工、入居後の賃貸管理・建物管理までを自社で一貫して行うため、長期にわたって不動産投資の心強いパートナーとなります。

「建てて終わり」ではなく、次の世代へ資産を継承してくためのアパート経営をサポートしているセレ コーポレーション。ホームページでは、さまざまな規模やデザインのアパート建築実例を見ることができます。ぜひチェックしてみてください。

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