相続を〝争続〟にしないために。遺産分割の種類とメリット・デメリット大解説

遺産(相続財産)を相続する際に避けて通れないのが「遺産分割」です。遺産が自在に分割できるものでないと分割方法によって不公平が生じたり、分割しやすいものであっても「生前、介護に貢献していた」などの理由で取り分を多く求めたりとさまざまな問題が起こる可能性があります。また、「うちは兄弟姉妹の仲が良いから大丈夫」という家族でも、大なり小なりの不平不満が出てしまうことも少なくありません。そこで今回は、遺産分割の種類やそのメリット・デメリット、過去に起きたトラブル事例などをご紹介します。

4種類の分割方法から公平な遺産分割を目指す

そもそも「遺産」とは、現金や預貯金だけでなく株券などの有価証券、自動車や貴金属といった動産、マンションや土地、借地権を含んだ不動産、さらには借金や住宅ローンのようなマイナス価値の財産まで、全てを含めたものを指します。これらの遺産を持つ当人が「遺言書」を残している場合はその内容に従って相続が認められますが、遺言書が無かった場合、最初に相続人全員で分け方を話し合う「遺産分割協議」が行なわれます。さらに協議で話がまとまらなかった(トラブルとなった)場合に、裁判所の選んだ調停委員が間に入る「調停」や、裁判所が強制力のある決定を下す「審判」へと発展していくのです。

そのような事態を防ぐためには、相続人同士で話し合い、納得のいく分割を行なう必要があります。分割方法は「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の4種類。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

■現物分割


手続きが一番シンプルな分割方法。ただし、価値に差がある場合はもめる可能性も

現物分割とは、遺産分割における原則的な方法であり、遺産をあるがままの姿で分割する方法です。例えば、預貯金を子ども全員で等分に相続したり、不動産は長男・現金は次男・有価証券は三男と分け合ったりします。土地を分筆(1個の土地を分割)して分配することも可能です。

この分割方法のメリットは、「遺産分割後の権利関係が明確」であることや、換価(たいていの場合は換金)や精算といった手間が発生せず「手続きが簡単」なことです。動産・不動産を売却して換価するとなると、売却を業者に委託すれば費用もかかり、そもそも買い手がつかなければ換価ができません。それらが不要になることは大きなメリットと言えるでしょう。

一方でデメリットとしては、仮に評価額1億円の土地Aと評価額1,000万円の土地Bがあった場合、「Aを長男に、Bを次男に継がせる」となると「相続人の間で公平性に欠けてしまう」おそれがあること。また、土地は塊であるほど価値が高まるため、分筆で細分化された土地は経済的価値が著しく減損する可能性も存在するのです。加えて、借地であれば、借地権を分割しようとする場合に地主の承諾も必須のため、さらに多くの手間や余計な費用が掛かってしまいます。

■代償分割


より、公平に分割したいときに有効な分割方法。ただし、財産を現物で受け取った相続人は金銭で他の相続人へ代償しなければならないので相続人の財力が必要

代償分割とは、「相続分を超過する遺産を与えられた相続人が、代償として金銭などを支払う」ことで公平性を保つ分割方法です。仮に評価額1億円のマンションのみを兄弟2人で相続したとします。その場合、兄がマンションを相続し、兄から弟へその分の「代償金」として5,000万円を支払うものです。

メリットとしては遺産の価値によらず公平に遺産を分割できること。さらには農業の後継者に農地を継がせるような、各種の事情を踏まえて特定の遺産を特定の相続人に取得させやすいことも特徴です。

デメリットは、この分割方法の要とも言える代償金。評価額の算出方法や代償金の支払い方法がトラブルとなりやすいのです。支払い方法では、特に不動産などで対象物は評価額が高額となり、代償金の支払いは分割払いの選択が主になってくるでしょう。長期的な支払いは債権者・債務者の事情が変わり、債務者の支払いが滞ったり債権者が途中で全額の支払いを要求したりする可能性もあり、新たなトラブルの火種となりかねません。そうならないためにも、支払いは極力一括払いにすべきだといわれています。

■換価分割


資産を現金化して分割する方法。売却した現金を平等に分割するので、相続人に財力がなくとも可能

換価分割とは、「遺産を売却などで換金して相続」する方法です。

メリットは遺産を公平に分割できる点や、所持していれば維持管理が発生するマンションや自動車といった遺産の維持管理が不要となる点です。

一方で、換価手続きの手間や仲介業者への費用などさまざまなコストが掛かり、取得できる金額が遺産の時価より低くなってしまう可能性があります。また、人気の低い地域の土地だとすぐに買い手が付かないことも想定され、スムーズに換価できないことも考えられます。どうしても売れない場合は価格の引き下げや、一度共有分割で所持した上で売却を目指すことを視野に入れるべきでしょう。

■共有分割


公平で手間のかからない方法だが、いざ売却するときには共有者全員の同意が必要となる

共有分割とは、「遺産を相続人の全員、または一部に共有取得させる」方法です。上で紹介した現物・代償・換価で合意が得られなかった場合の“最後の手段”ともいわれています。

メリットとしては、相続人が共有取得を望む場合に採用しやすいと言えます。例えば、遺産の土地を分筆してそれぞれが現物取得して住居を構えた際に、共有分割の土地をつくり共有道路として利用するなどが考えられます。

ですが共有分割した場合は、共有者全員の同意が無ければ売却できなくなることがデメリットに挙げられます。また、共有者が亡くなると共有の権利も分割されて相続されるため、権利関係者が増えてしまいさらに話がややこしくなるとされています。

思わぬところに潜む相続トラブル

相続トラブルの事例では、代償分割での不動産の評価額が争点になりやすいとされています。

不動産の評価額は、国土交通省の定める「公示価格」に基づいて「不動産鑑定士」が算出します。ですが、代償金の額に関わるため、支払う側としてはできるだけ安く、受け取る側としてはできるだけ高い評価を望むもの。片方の一方的な言い分だけでは、もう片方は「本当に適正な金額なのか?」と納得できないことが大半になるでしょう。そのため一般的には、両者がそれぞれ鑑定士に依頼し、互いに算出した評価額の中間を取ることが一般的とされています。

また、相続には遺産の価値以外も関わってきます。「長年介護を続けていた」などの「寄与分」や、「生前に財産を譲り受けていた」といった「特別受益」と呼ばれる要素も絡み、「介護にどれだけの労力や費用をかけていたか」や「どれだけの利益を受け取っていたか」も、相続する遺産の増減に加味されるのです。それらの算定などでも異論が出てしまうことがあるため、トラブルの引き金となる可能性は否定できません。特に具体的な数字に表れにくい介護などは、「どれだけの期間」「どんな介護をしていた」などをしっかり記録につけておくのも良いでしょう。

アパート経営で相続トラブルを回避する

自分とは縁がないと思っていても、万が一の時には誰もが経験する「相続」。込み入った資産の含まれた相続に直面しても、相続人全員が話し合いで納得できる分割方法を提示できる知識を持つことが重要です。ですが、複雑な資産を相続すると思わぬトラブルに発展する可能性が高いので相談できるパートナーがいると安心でしょう。加えて、「小規模宅地の特例」や「貸家建付の評価減」などによって大きく相続税対策ができ、現物資産としての価値も高いアパートという形で相続することも有効な手段の一つです。


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監修=粟井勇貴(弁護士|MI総合法律事務所 名古屋オフィス)
    森咲枝(弁護士|MI総合法律事務所 名古屋オフィス)

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