近年、「IoT」という言葉を耳にする機会も多いかと思います。
「IoT」は急速に実用化が進んでいるテクノロジーの一つで、ビジネスシーンや一部の施設だけでなく日常生活の中でも頻繁に使われるようになっています。
そんな身近な存在となった「IoT」の仕組みや活用事例、そして私たちが暮らす住宅の中で具体的にどのように使われているかをご紹介します!
IoTとは?
IoT とは、「Internet of Things」の略で、直訳すると「モノのインターネット」です。
従来はインターネットに繋げられるものは、パソコンやサーバーなどいわゆる「コンピューター」のみでした。
しかし、IoTではこれまでインターネットに接続されていなかった身の回りのあらゆるモノをインターネットに繋げることができます。
IoTという言葉は2010年代中ごろから使われ始めるようになり、スマートフォンの普及や通信の高速化、機器の高精度化、低価格化などもあり急速に拡大し、身近な存在となっていきました。
総務省の「令和4年版 情報通信白書」では世界のIoT機器数について、2021年は約292億台、そして 2022年には約323億台、2023年には約358億台、2024年には約400億台と、今後、IoT化の潮流はさらに拡大し、あらゆるモノがインターネットに繋がる社会が到来するといわれています。
※出典:総務省『令和4年版 情報通信白書』
IoTの仕組み
簡単に言うと、モノにインターネットのセンサーを組み込み、そのセンサーが受け取った情報を活用して、「モノを遠隔で動かす」、「モノの状態を知る」、「モノの動きを検知する」、「モノ同士で通信する」など、離れた場所にあるモノをインターネットを使って扱うことができます。
各種センサーによってモノの状態や動きを把握し、データとして蓄積されます。センサーで把握できる主な情報として、加速度(速さ)、光、温度、音などが一般的です。
それぞれのモノによって、必要となる情報に合ったセンサーが搭載されます。
IoT活用事例
工場での活用
工場では主に“業務の効率化”を目的として活用され、「スマートファクトリー」の実現を見据えています。
例えば、休日や夜間に無人で機械を動かしている場合などに、機械が正常に動作しているかを把握することができます。
また、温度や動作音などのデータを自動で取得することで故障やエラーをいち早く検知できるため、機械設備の異常による不良品の発生や作業員の事故などのトラブルを最小限に抑えることも目的として導入されています。
医療・介護施設での活用
医療分野でIoTは「IoMT(Internet of Medical Things)」と呼ばれることもあり、医療の精度やサービスの向上が期待されています。
患者の症状や健康に関するデータを収集することで、患者一人一人に合った治療や医療を提供することが可能になり、データが蓄積することで「処方ミス」や「医療ミス」を未然に防ぎ、精度が向上すると考えられます。
また、患者が使用しているベッドや病室にセンサーを取り付けることで、リアルタイムで患者の体調を正確に管理し、体調の変化をいち早く検知し対応できるようになります。
このように医療・介護現場のスタッフの負担を軽減しながら、充実した介護環境を提供することも可能です。
農業での活用
農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻化している近年、政府も支援する、IoTを活用した「スマート農業」という言葉にも注目が集まっています。
「スマート農業」では、これまで作物を育てるのに必要な温度や湿度、日照時間などの情報を、センサーやカメラなどを搭載したIoT機器を設置することで24時間365日蓄積させることができます。
そして、蓄積されたデータをもとに収穫量やリスクなどをAIが予測し、事前に対策することで品質アップや収穫の効率アップを狙えます。
また、厳密な管理を要するビニールハウスの温度や湿度、照度などを、時間やコストを削減しながら遠隔地で現地の情報を把握・操作することも可能です。
従来、計測作業に手間がかかったり、作業自体が難しかったものを、素早く、そして高い精度で行えることから、農業の現場が抱える問題を解決に導くのではないかと期待されています。
これらの工場や病院、農家などにおいては人員不足の解消や精度の向上、生産性の向上など、現場で働く人にとっても、生活者にとってもより快適な暮らしの実現を目指して活用されています。
自動車での活用
自動車での活用で代表的なものは「自動運転」です。
車内に設置したセンサーで現在地や走行データといった情報を収集・分析することで、それぞれの状況に適した安全な自動運転を目指しています。
今後自動運転が実現すれば、ドライバーの負担軽減だけでなく、操作ミスや居眠り運転といった事故の防止、渋滞の緩和にもつながります。
また、運転しながらでも音声による操作が可能なカーナビなどはすでに多くの自動車で導入されています。
住宅での活用
最も手軽で身近なIoTとして、「スマートリモコン」や「スマートスピーカー」を使用している方も多いのではないでしょうか?
コロナ禍において外出自粛やテレワークなどで「おうち時間」が増えている近年、家の中での暮らしをより快適にするアイテムとして注目されています。
これらのアイテムが可能にする代表的な機能は、「家電の操作」です。
照明を音声で操作したり、時間指定で点灯/消灯させたり、遠隔操作で外出時の消し忘れや防犯対策としても効果的です。
また、外出先から帰宅に合わせてスマートフォンでエアコンのスイッチを入れたり、反対に消し忘れた場合でも外出先からスイッチを消すこともでき、省エネにもつながります。
これらの照明やテレビ、ブルーレイレコーダー、エアコンなどの操作を、かさばるリモコン類を使うことなくスマートフォン1つ、あるいは音声のみで、そして遠隔で行うことが可能になります。
さらに、最近は住宅そのものにIoT設備を組み込んだ「IoT住宅」も増えています。
セレ コーポレーションのアパートで採用されているIoT設備を例にご紹介します。
カードロック
実物キーを持たないカードロックは、カードや暗証番号で簡単に玄関の鍵を開けることができ、あらかじめ電池切れ通知機能もあるため安心です。
IPインターホン
友人や宅配便などの訪問時に外出していたとしても、リアルタイムで動画と音声で来訪者を確認・応答が可能です。
IPインターホン(住戸親機)
双方向同時通話や救急隊自動解除機能、呼出し音停止機能など、生活環境に応じた機能の選択が可能です。
スマートLEDシーリングライト
スマートフォンから照明のON/OFFやタイマー設定、調光の切替、シーン切替など簡単に細かな設定ができます。また、遠隔から操作できるため、外出時の防犯対策としても活用できます。
スマートマルチリモコン
室内の温度・湿度・照度を検知し、いつでもスマートフォンで確認できます。また、テレビ・エアコン・照明など、様々な赤外線リモコンをスマートフォン1台にまとめることができます。リモコンの紛失や電池切れ、破損時の予備としても有効です。
スマートセンサー
センサーが窓の開閉を感知し、スマートフォンのアプリにリアルタイムでお知らせが届きます。また、電池式なので配線工事不要となり、自由に取り付けることが可能です。
IoT住宅なら、毎日の生活が便利で快適になることはもちろん、省エネやセキュリティ性の向上にもつながります。
また、IoT設備が付いたアパートを選ぶことで、自分でIoT対応の家電やスマートリモコンなどを購入することなく便利で快適な暮らしを送ることができます。
IoTは住宅をはじめ様々な場所で実用化されています。
急速に拡大し身近な存在となったIoTは、社会全体を豊かにするテクノロジーとして、今後さらに拡大し、これまで考えられなかったモノや場所でも積極的に導入されていくことが期待されます。