
「長期的な安定経営には、RC造が向いているのでは?」とお考えの方もいるのではないでしょうか。
RC造は資産価値が維持されやすく、融資審査でも有利な点が魅力です。ただし、高額な建築費や将来の大規模修繕費を考慮しないと、資金繰りに苦労する場合があります。
この記事では、投資家が知っておくべきRC造のメリット・デメリットを整理し、失敗を防ぐための長期的な収支シミュレーションのポイントをご紹介します。
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RC造とは?

RC造とは、「鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete)」の略称です。鉄筋とコンクリートを一体化させることで、単体では補えない強度を実現した建物構造を指します。
コンクリートは圧縮力(押しつぶす力)に強い反面、引張力(引っ張る力)には弱い性質があります。一方、鉄筋は引張力に優れています。この2つを組み合わせることで互いの弱点を補い合い、構造的な安定性を生み出しています。
RC造の特徴と構造
RC造の構造的な特徴として、特筆すべきは鉄筋とコンクリートの「熱膨張率がほぼ同じ」という物理的な相性にあります。温度変化による膨張・収縮の動きが一致するため、長期間にわたって一体構造を保ちやすいのです。
建物の骨格となる柱・梁・壁・床がすべてコンクリートで一体化した「ラーメン構造(剛接合フレーム構造)」が多く採用されており、地震の横揺れに対して高い剛性を発揮します。また、コンクリート自体が不燃材料であるため、耐火性・防音性においても木造や鉄骨造より優れた性能を持っています。
不動産投資においてRC造が注目される大きな理由は、法定耐用年数の長さです。法定耐用年数とは、税法上に定められた「建物の価値が帳簿上ゼロになるまでの期間」のことです。RC造は47年と定められており、木造(22年)や軽量鉄骨造(19~34年)、重量鉄骨造(34年)を大きく上回ります※。
この耐用年数の長さは、金融機関からの融資期間の長期化や、資産価値の維持に直結する重要な要素の一つです。
※耐用年数は用途等で区分があるため、物件の用途(共同住宅・事務所等)により適用年数が異なる点に注意しましょう。
木造・鉄骨造との違い
構造の選択は、建築費・税金・融資条件など収益性のあらゆる面に影響を与えます。以下の表で主な違いを整理しました。
| 項目 | 木造 | 軽量鉄骨造 | 重量鉄骨造 | RC造 |
|---|---|---|---|---|
| 法定耐用年数 | 22年 | 19~34年 | 34年 | 47年 |
| 建築費の目安(坪単価) | 70〜90万円 | 80〜100万円 | 90〜110万円 | 100〜130万円 |
| 耐火性 | 低い | 中程度 | 中程度 | 高い |
| 防音性 | 低い | 低~中程度 | 中程度 | 高い |
| 融資の長期化 | △ | △~〇 | 〇 | ◎ |
| 固定資産税 | 低め | 中程度 | 中程度 | 高め |
RC造は初期費用と固定資産税の高さが目立ちますが、耐用年数の長さと融資条件の有利さで、長期的な資産形成には適した構造といえます。
RC造のメリット
RC造には、不動産投資を長期で成功させるためのメリットが複数あります。費用面での課題はありますが、資産価値の安定性と融資条件の有利さは、ほかの構造では代えがたい強みです。
資産価値が落ちにくい
RC造は、資産価値の下落スピードがほかの構造と比べて緩やかなのが特徴です。木造は、築20年を超えると建物評価がほぼゼロに近づきます。一方で、RC造は法定耐用年数が47年と長く、築30年を経過しても建物評価が残りやすい傾向があります。
不動産の資産価値は「土地」と「建物」の2つで構成されます。建物評価が長く維持されるRC造は、売却時の価格交渉でも有利に働きやすく、出口戦略(売却によるキャピタルゲイン)を描きやすい点もメリットです。
また、資産価値が維持されやすいことは、担保価値の高さにも直結します。追加融資を受けて物件を買い増す際にも、既存物件の評価が高いほど有利な条件を引き出しやすくなります。
融資の審査が通りやすい
RC造は金融機関からの評価が高く、融資審査において有利に働くケースが多くあります。その理由は、担保となる建物の耐用年数が長く、融資期間を長く設定できるためです。
融資期間が長くなると、月々の返済額が抑えられ、家賃収入との差額(キャッシュフロー)が改善されます。例えば、同じ1億円の借入でも、返済期間が25年から35年に延びると月々の返済額は大きく変わります。
木造では耐用年数の短さから35年融資が難しいケースもある一方、RC造であれば長期融資を引き出しやすく、月々のキャッシュフローを安定させやすいのです。
法定耐用年数が長い
法定耐用年数が47年という長さは、節税面でも重要な意味を持ちます。建物は毎年「減価償却費」として費用計上でき、課税所得を圧縮できます。耐用年数が長いということは、減価償却による節税効果を長期間にわたって継続して享受できるということです。
ただし、減価償却が終了した後は帳簿上の費用が減り、税負担が一気に増加します。これが「デッドクロス(税引後の手残りがマイナスに転じる現象)」の一因です。
RC造は減価償却期間が長いぶん、デッドクロスの到来を遅らせられるという点でも、長期保有を前提とした投資戦略に向いています。
耐震性・防音性が高い
RC造は構造全体がコンクリートで一体化されており、地震の横揺れに対する剛性が高いのが特徴です。1981年以降の新耐震基準適用により、現行の建物では高い耐震性が確保されています。
ただし、一般的な集合住宅の多くは建築基準法を満たす「耐震等級1」で設計されており、必ずしも等級として特別に高い耐震性能を持つわけではありません。耐震性能は構造種別だけで決まるものではなく、設計内容や耐震等級の設定によって大きく変わる点に注意が必要です。
防音性の高さは、入居者の満足度と直結します。木造や軽量鉄骨造では生活音のトラブルが退去原因になることも少なくありませんが、RC造は壁や床に十分な厚みと重量があり、かつ構造的に気密性も高いため音の伝わりを抑えやすい特徴があります。そのため、木造や軽量鉄骨造と比較して生活音トラブルが起こりにくい傾向があります。
空室対策や入居者の長期定着を考える上で、防音性の高さは「家賃設定を維持しやすい物件の質」にもつながる重要な要素です。
RC造のデメリットと注意点

RC造への投資を成功させるには、メリットだけでなくコスト面の課題を事前に把握しておくことが不可欠です。特に初期費用と維持費の重さは、収益計画に大きく影響します。
建築費用が高額になりやすい
RC造の建築費は、木造や鉄骨造と比べて坪単価で10〜40万円ほど高くなるのが一般的です。材料費だけでなく、型枠の組み立てや解体、コンクリートの打設・養生など工程が多く、施工期間も長くなりやすい点が費用を押し上げます。
初期の借入額を大きくするため、表面利回り(物件価格に対する年間家賃収入の割合)が低くなりやすく、同じ家賃収入でも投資効率が低下する点に注意が必要です。
解体・修繕費用がかかる
RC造は耐用年数が長い一方、建物の寿命を終えた後の解体費用も高額になります。木造の解体費用が坪3〜5万円程度なのに対し、RC造は坪6〜8万円程度が目安です。延床200坪の物件であれば、解体だけで1,000万円を超えるケースも珍しくありません。
また、大規模修繕の観点でも注意が必要です。外壁のひび割れ補修や屋上防水の更新は、築12〜15年ごとに必要になる場合が多く、1回あたり数百万円規模の出費を見込んでおく必要があります。
固定資産税が高くなりやすい
RC造は資産価値が落ちにくいという特性の裏返しとして、固定資産税の評価額も高く維持されやすい傾向があります。固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算されますが、RC造の評価額は木造より高く設定されるため、毎年の税負担が重くなりがちです。
木造であれば築年数とともに評価額が下がりやすく、税負担が軽減されていきます。RC造はその恩恵を受けにくいぶん、保有コストとして長期にわたり固定費がかかり続けるため、その点を収支計画に反映させる必要があります。
利回りが低下しやすい
デメリットを総合すると、RC造は「高い建築費」「解体・修繕の重いコスト」「固定資産税の高止まり」が重なり、実質利回り(諸経費を差し引いた後の利回り)が木造や軽量鉄骨造より低くなりやすい傾向があります。
以下は、構造別の収益性に関わるポイントを整理した比較表です。
| 項目 | 木造 | 軽量鉄骨造 | RC造 |
|---|---|---|---|
| 建築費(坪単価目安) | 70〜90万円 | 80〜100万円 | 100〜130万円 |
| 表面利回りの出やすさ | ◎ | 〇 | △ |
| 固定資産税の負担 | 低め | 中程度 | 高め |
| 解体費用(坪単価目安) | 3〜5万円 | 4〜6万円 | 6〜8万円 |
| 大規模修繕の頻度 | 15〜20年 | 15〜20年 | 12〜15年 |
重要なのは、表面利回りの数字だけで判断しないことです。RC造の強みは長期保有による資産安定性にあるため、10〜30年単位の「実質的なトータルリターン」で評価する視点が求められます。
セレ コーポレーションのアパートは、鉄骨造(S造)に特化しています。コストと耐久性のバランスがよく、中長期的な収益安定型オーナーに向いた構造です。詳しくは、こちらの記事も併せて参考にしてみてください。
長期的な収支シミュレーション

RC造で安定した収益を実現するには、建築費や修繕費の高さを前提とした長期収支の把握が欠かせません。短期の利回りだけでなく、長期的なシミュレーションで判断することが重要です。
建築費の差額と回収期間
RC造は木造より建築費が高いぶん、表面利回りは低くなりやすい傾向があります。
しかし、防音・耐震性の高さによる空室率の抑制や長期融資による月々のキャッシュフロー改善を加味すると、単純な利回り比較では見えない優位性があります。
以下は、延床200坪・10戸規模を想定した木造とRC造の比較です。
| 項目 | 木造 | RC造 |
|---|---|---|
| 建築費目安(坪80万/120万円) | 1億6,000万円 | 2億4,000万円 |
| 想定年間家賃収入 | 960万円 | 1,200万円 |
| 表面利回り | 6.0% | 5.0% |
| 法定耐用年数 | 22年 | 47年 |
建築費の差額約8,000万円に対し、年間家賃収入の差額は240万円です。表面的な数字だけで判断せず、税効果・修繕費・融資条件を含めたトータル収支で評価することが大切です。
大規模修繕を見据えた資金計画
RC造の長期経営において見落とされがちなのが、大規模修繕費の積立不足です。修繕費は「発生してから考える」のではなく、毎月の家賃収入から計画的に積み立てておくことが鉄則です。
外壁や屋上の防水工事
コンクリートのひび割れ(クラック)から雨水が浸入すると内部の鉄筋が腐食し、「爆裂」と呼ばれる構造体へのダメージが生じます。
どの建築構造においても、早期発見・補修が修繕費を最小化する上で欠かせません。
設備更新などの修繕費用
給排水管や電気設備など、目に見えない部分の更新コストも長期収支に影響します。漏水事故が発生すると入居者への補償や二次被害で出費が膨らむため、築25〜30年を目安に全面更新の計画を組み込んでおきましょう。
長期的な収支計画のポイント
デッドクロスへの備え
デッドクロスとは、「ローンの元本返済額が減価償却費を上回る状態」のことです。帳簿上は黒字でも手元資金が減っていくため、投資家にとって危険な局面です。
デッドクロスが問題になるのは、帳簿上の利益が出ているのに現金が残りにくい点です。税負担の増加に加え、修繕や設備更新が重なると、税引後キャッシュフローがマイナスに転じることもあります。
減価償却は会計上の費用として所得を圧縮できますが、ローン元本返済は費用になりません。築年数が経過して減価償却費が小さくなるほど課税所得が増え、結果として「家賃収入は変わらないのに税金が増えて手元資金が減る」という状態になりやすくなります。
出口戦略を見据えた計算
RC造への投資は、売却益も含めたトータルリターンで評価することが不可欠です。売却価格は「年間純収益(NOI)÷ 期待利回り(キャップレート)」で算出する収益還元法が基本となります。
売却タイミングは減価償却終了前が有利になるケースが多く、次の物件に組み替える「物件ローテーション戦略」も有効な選択肢の一つです。30年単位の出口まで見据えた計画を、投資判断の前に必ず立てておきましょう。
RC造の特徴を理解した上で不動産活用を
RC造は資産価値の安定性や長期融資の引き出しやすさが魅力ですが、高い建築コストや修繕費、デッドクロスへの備えなど、事前に把握すべき課題も存在します。構造の特性を正しく理解し、30年単位の収支計画を立てることが、安定した賃貸経営への第一歩です。
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アパート経営の疑問を解消
自己資金、利益、空室対策…
アパート経営によくある不安と解決策をまとめました。
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< この記事の監修者 >

飯田 高士
税理士法人ファルベ
代表社員・税理士
2018年、税理士法人ファルベを設立し代表社員に就任。
現在では年間100件以上の不動産オーナー様(個人・法人)の税務顧問を務め、決算対策から法人化を含む承継対策、税務調査立会に携わる。
また不動産コンサルティングファームの株式会社ファルべ、株式会社ファルベ不動産とファルベグループを形成し、事業承継対策としての物件の取得・売却・組替えについても組織的な提案を行っている。


