不動産にはさまざまな税金が関わっており、「いつ」「どのくらい」かかるのか、わかりにくいと感じている方も多いでしょう。購入時だけでなく、保有中や売却時、さらには贈与の場面でも税金は発生するため、事前に全体像を把握しておくことが大切です。
この記事では、不動産にかかる税金の種類をタイミング別に整理し、税負担を軽くできる特例や控除制度について解説します。
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不動産の税金一覧
不動産にかかる税金は「取得」「保有」「売却」「贈与」の4つの場面で発生します。場面ごとに課税のタイミングが異なるため、まずは一覧で確認しましょう。
■不動産の税金と課税のタイミング
| 税金がかかる場面 | 主な税金の種類 | 課税のタイミング |
|---|---|---|
| 取得時(購入・建築) | ・印紙税 ・消費税 ・登録免許税 ・不動産取得税 | ・不動産売買契約書や建築請負契約書を作成したとき ・土地や建物の登記(名義変更・保存)の手続きをするとき |
| 保有時(所有期間中) | ・固定資産税 ・都市計画税 | ・毎年1月1日時点で不動産を所有しているとき ・市街化区域内に土地や建物を所有しているとき(毎年) |
| 売却時 | ・印紙税 ・登録免許税 ・譲渡所得税、住民税 | ・不動産を手放して売却益(譲渡益)が発生したとき ・売却の契約書を作成したとき |
| 贈与時(無償取得) | ・不動産取得税 ・登録免許税 ・贈与税 | ・個人から不動産を無償で譲り受けたとき ・無償取得に伴う名義変更の登記や、取得の手続きをするとき |
不動産の取得時にかかる税金
不動産の取得時には購入代金以外にもまとまった税金がかかります。各税目の仕組みと軽減措置を把握し、正確な資金計画に役立てましょう。
<取得時にかかる税金>
・印紙税
・消費税
・登録免許税
・不動産取得税
印紙税
印紙税とは、不動産売買契約書の作成時に収入印紙を貼付して納める税金です。税額は契約金額に応じて定められており、例えば1,000万円超5,000万円以下の契約では本則2万円がかかります。
なお、不動産売買契約書には軽減措置が設けられており、2027年3月31日までに契約した場合は税額が半額に減額されます。1,000万円超5,000万円以下の契約であれば、軽減後は1万円です。また、電子契約を利用した場合は印紙税が不要となり、紙の契約書と比べて負担を抑えられます。
適用期限は税制改正で変更される可能性があるため、契約時期に応じて最新の情報を確認してください。
消費税
不動産の購入時には、建物の購入代金や不動産会社へ支払う仲介手数料に消費税が課税されます。ただし、すべての取引に一律で課税されるわけではなく、取引の対象と売主によって負担額が大きく変わるのが特徴です。
建物の課税の有無は、売主によって異なります。個人が売主となる中古住宅の建物代金は非課税となり、一般的なマイホームの売買(個人間売買)であれば建物部分に消費税はかかりません。一方、課税事業者である不動産会社が売主となる場合は、建物代金に消費税が課されます。新築一戸建てや新築マンションはもちろん、不動産会社が買い取ってリノベーションした後に販売している中古住宅なども該当します。
売主が個人か不動産会社かによって、最終的な支払い総額に数百万円単位の差が生じることもあるでしょう。仲介手数料には別途消費税がかかる点も含め、売買の形態を事前に確認しておく必要があります。
なお、土地の売買は常に非課税です。土地は消費される性質のものではないため、売主が誰であっても消費税は発生しません。
登録免許税
登録免許税とは、所有権の移転や抵当権の設定登記を行う際に法務局へ納める税金です。税額は「課税標準額×税率」で算出されます。税率は、登記の内容や物件種別によって以下のように定められています。
■登録免許税の税率
| 対象となるケース | 登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 |
|---|---|---|---|
| 新築住宅を建てたとき | 所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% |
| 中古住宅を購入したとき | 所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% |
| 土地を購入したとき | 所有権移転登記 | 2.0% | 1.5% |
| 住宅ローンを借りたとき | 抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の中古住宅を取得した場合、軽減措置が適用されれば税額は6万円で済みますが、適用外であれば40万円です。軽減措置の要件を満たさない例としては、個人が居住する目的以外で中古住宅を取得した場合などが挙げられます。
このように、物件が軽減措置の要件を満たしているかどうかで、税額が大きく変わります。
不動産取得税

不動産取得税とは、土地や建物を取得した際に、一度だけ都道府県が課税する地方税です。
標準税率は原則4%ですが、特例措置により2027年3月31日までに取得した住宅および住宅用土地については3%に軽減されています。さらに、宅地等の土地を取得した場合には、固定資産税評価額を2分の1にした上で税率をかける計算式が適用されるため、実際の税負担は大幅に軽減されるでしょう。
例えば、省エネ性能の高い住宅など、その種類や性能に応じて評価額から金額を差し引くことができる控除特例があります。
<建物評価額からの控除特例>
・新築住宅:床面積が50㎡以上240㎡以下(賃貸空宅は40㎡~240㎡)の場合、固定資産税評価額から1,200万円(認定長期優良住宅の場合は1,300万円)を控除
・中古住宅:築年数や耐震基準などの要件を満たせば、新築時等の時期に応じて最大1,200万円を控除
これらの特例は、原則として2027年3月31日までの期限付き措置となっており、延長される場合もあります。
不動産の保有時にかかる税金
不動産を所有している限り、毎年継続的に税金が発生します。内訳を詳しく見ていきましょう。
<保有時にかかる税金>
・固定資産税
・都市計画税
固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している方に対して市町村が課税する税金です。税額の計算式は「課税標準額×1.4%(標準税率)」です。
住宅用地には負担を抑えるための軽減措置が設けられており、1戸当たり200平方メートル以下の小規模住宅用地は課税標準額が6分の1に、それを超える場合は3分の1に減額されます。また、新築住宅についても、一定の要件を満たせば新築後3年間、マンション等は5年間、課税標準額が2分の1に減額される特例があります。
評価額は3年に一度見直される「評価替え」が行われるため、そのタイミングで税額が変動することもあるでしょう。納税通知書は毎年4~6月頃に届き、一括払いまたは年4回の分割払いでの納付が必要です。
固定資産税については、下記の記事をご覧ください。
土地の固定資産税はいくら?計算方法と効果的な節税について解説
都市計画税
都市計画税とは、市街化区域内に土地や建物を所有している方に課税される税金です。道路や公園、下水道などの都市計画事業の費用にあてる目的で徴収され、固定資産税と合わせて納税通知書により納付します。
税額は「課税標準額×税率(上限0.3%)」で計算しますが、実際の税率は市町村ごとに異なるため、物件が所在する自治体の税率を確認しましょう。住宅用地に対する軽減措置もあり、小規模住宅用地は課税標準額が3分の1に、一般住宅用地は3分の2に減額されます。
市街化調整区域の不動産には都市計画税がかからないため、物件の所在地がどの区域に該当するかを事前に調べておくことが大切です。
不動産の売却時にかかる税金

不動産を売却する際は、契約書の作成時にかかる印紙税のほか、登録免許税や譲渡所得に対する所得税、住民税がかかります。所有期間や控除制度によって手取り額が変わるため、事前に仕組みを理解しておきましょう。
<売却時にかかる税金>
・印紙税
・登録免許税
・譲渡所得に対する所得税、住民税
印紙税
不動産の売却でも売買契約書に印紙税がかかります。税額は取得時と同様に契約金額に応じて決まり、売主と買主がそれぞれの契約書分を負担するのが一般的です。印紙税にも軽減措置が設けられており、適用期間内であれば通常より低い税額で済みます。
登録免許税
住宅ローンの残債がある場合は、抵当権の抹消登記に伴い登録免許税が発生します。抵当権抹消の登録免許税は不動産1件あたり1,000円で、土地と建物を合わせても2,000円程度です。
なお、仲介手数料や測量費、立退料などは譲渡所得を計算する際の「譲渡費用」として売却額から差し引けますが、抵当権抹消登記にかかる費用は原則として譲渡費用に含まれない点に注意が必要です。売却に関連する領収書は、何が控除対象になるか判断するためにも大切に保管しておきましょう。
譲渡所得に対する所得税、住民税
不動産を売却して利益が出た場合には、所得税と住民税が課税されます。譲渡所得の計算式は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」です。
税率は不動産の所有期間によって大きく異なり、売却した年の1月1日時点で5年を基準として、短期譲渡所得と長期譲渡所得の2つに区分されます。
■短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率比較
| 所有期間(売却した年の1月1日時点) | 所得税 | 住民税 | 合計税率 | |
|---|---|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30.63% | 9% | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15.315% | 5% | 20.315% |
※所得税率には、所得税額に対して2.1%を乗じた復興特別所得税を合算
短期と長期では税率に約2倍の差があるため、売却時期の判断は節税における重要なポイントとなります。なお、譲渡所得が発生した場合は、売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行い、納税しなければなりません。
不動産の贈与時にかかる税金
不動産を贈与で取得した場合にも、受け取る側にさまざまな税金が発生します。贈与の方法や制度の選択によって負担額が変わるため、事前にそれぞれの税金を確認しておきましょう。
<贈与時にかかる税金>
・不動産取得税
・登録免許税
・贈与税
不動産取得税
贈与による不動産の取得であっても、原則として不動産取得税は課税対象となります。売買と同様に固定資産税評価額をもとに税額が計算されますが、贈与のケースでは軽減措置の要件を満たしにくい場合があるため、注意が必要です。
まず税率については、2027年3月31日までの特例により、住宅用であれば贈与であっても原則として3%が適用されます。しかし、評価額から一定額を差し引ける「控除特例(新築の場合1,200万円など)」を受けるには、贈与を受けた本人がその住宅に居住するといった要件を満たさなければなりません。
例えば、評価額が2,000万円の不動産を贈与で取得し、居住用要件などを満たせず控除が一切適用されない場合、税額は最大で80万円に達するケースもあります。
なお、相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税は非課税となります。不動産を譲り受ける際は、登録免許税や贈与税と合わせて、不動産取得税を含めた事前の資金計画が不可欠です。
登録免許税
贈与で不動産の名義変更を行う場合にも登録免許税がかかります。税率は原則として固定資産税評価額の2.0%で、売買時に利用できる0.3%の軽減税率は適用されません。親族間の贈与であっても税率は変わらない点に注意しましょう。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の不動産を贈与で取得した場合、登録免許税は40万円になります。売買で軽減税率が適用される場合は6万円で済むため、その差は34万円です。贈与と売買のどちらが有利かは、登録免許税だけでなくほかの税金も含めたトータルコストで判断することが大切です。
贈与税
贈与税とは、個人から財産を無償で受け取った際に課税される税金です。基礎控除は年間110万円で、これを超える部分に10~55%の累進税率が適用されます。
不動産は評価額が高くなりやすいため、贈与税の負担も大きくなる傾向にあるでしょう。課税方式には暦年課税と相続時精算課税制度の2つがあり、相続時精算課税制度を選択すれば、毎年の基礎控除110万円に加え累計2,500万円まで特別控除枠として非課税で贈与できます。ただし、相続発生時に贈与分が相続財産に加算される仕組みです。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合は、基礎控除110万円に加えて最大2,000万円まで控除できる配偶者控除の特例もあります。どの方法が有利かは資産状況によって異なるため、税理士などの専門家へ相談するのも選択肢の1つです。
不動産の税負担を軽くする控除・特例
不動産に関する税金は、控除や特例をうまく活用することで負担を軽減できます。代表的な制度は、以下のとおりです。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、年末のローン残高に応じて所得税や住民税から控除を受けられる制度です。控除率は借入残高の0.7%で、最大13年間にわたって適用されます。ただし、2024年以降に入居する新築住宅については、一定の省エネ基準を満たしていることが必須要件となっており、基準に満たない住宅は原則として控除を受けられません。
3,000万円特別控除(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)
3,000万円特別控除(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例)とは、居住用のマイホームを売却した際に譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。所有期間にかかわらず適用でき、譲渡所得が3,000万円以下であれば所得税・住民税はかかりません。
なお、売主と買主が親子や夫婦などの場合は適用外です。また、「買い替え先での住宅ローン控除」との併用には厳しい制限があり、売却した年とその前後2年(計5年間)にこの特例を受けると、新居でローン控除が受けられない場合があります。
売却と購入を同時に行う、買い替えの場合は、どちらの制度を優先すべきか、事前に税理士などの専門家へシミュレーションを依頼することをおすすめします。
損益通算と繰越控除
不動産を売却して損失が出た場合、一定の要件を満たすことで、損失をその年の他の所得(給与所得など)から差し引いて税負担を軽くできる、損益通算という仕組みがあります。例えば、マイホームの買い換えなどで特例の要件を満たし、給与所得500万円の年に200万円の譲渡損失が発生したケースでは、課税対象を300万円に縮小できます。
控除しきれなかった損失は翌年以降3年間にわたって繰越控除が可能です。「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」として定められており、一定の要件を満たすマイホームの売却が対象になります。
なお、繰越控除を受けるには、損失発生年から毎年確定申告が必要です。売却で損失が出た場合でもこの制度を活用すれば税金の還付を受けられる可能性があるため、期限内に忘れずに申告しましょう。
参考:特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合の確定申告書等の書き方(措法41の5の2)|国税庁
不動産の税金で損をしないために、税金の種類と特例を確認しよう

不動産の税金は「取得時」「保有時」「売却時」「贈与時」のタイミングで発生します。まずは自分がどの場面にいるのかを整理し、関係する税金を把握することが大切です。譲渡所得にかかる税金や贈与税は金額が大きくなりやすく、特例や控除の有無によって負担額が大きく変わります。適用要件を事前に確認し、使える制度を押さえておきましょう。
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< この記事の監修者 >

大塚 正幸
大塚正幸税理士事務所 代表/税理士
東京税理士会京橋支部所属
東京国税局に約30年間勤務し、相続税・贈与税・譲渡所得税などの資産税事務を専門に従事。 千葉西税務署、江東西税務署、品川税務署、東京上野税務署をはじめ合計17ヵ所の税務署で統括国税調査官として相続税調査の最前線に立ち、申告書精査から調査事案選定まで幅広い実務を経験。 令和2年7月に退職後、同年9月に税理士事務所を開業。現在は相続税専門税理士として申告業務を中心に活動するかたわら、大手税理士法人のセカンドオピニオン業務も手がける。 令和4年4月より千葉県税理士会税務研究所研究員として、税理士向けの財産評価・相続税申告相談も担当。


