アパート経営は「毎月安定した家賃収入が得られる」「節税効果がある」など、多くの魅力をもつ不動産投資の1つです。副業として始める人も多く、資産形成や相続対策としても注目されています。その一方で、空室リスクや初期費用の負担、金利変動による返済リスクなど、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。
この記事では、アパート経営における代表的な13のデメリットと併せて、アパート経営によって得られるメリットや失敗を防いで成功に導くためのポイントを紹介します。
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アパート経営で注意しておきたい13のデメリット
アパート経営には多くの魅力がある一方で、見落とされがちなリスクも多数存在します。ここでは、特に注意すべき13のデメリットを紹介し、それぞれに対する基本的な対策も併せて解説します。
1. 初期費用が高額で資金負担が大きい
アパート経営を始めるには、土地代や建築費、登記費用、仲介手数料など、多額の初期費用がかかります。多くの方が金融機関から融資を受けてアパート経営をスタートするため、ローン返済が経営の重荷となる可能性も否めません。
そのため、設備や建築仕様には「費用をかけるところ・抑えるところ」のメリハリが重要です。ターゲット層に合わない過剰な設備投資は費用対効果が低く、かえって経営を圧迫する原因になりかねません。
2. 空室リスクにより収益が不安定になる
入居者が退去して空室になると家賃収入は途絶えますが、その間も管理費や修繕費などのコストが発生します。立地や築年数、周辺環境の変化によって空室リスクは大きく左右されます。特に郊外や需要の低いエリアでは注意が必要です。
空室のリスクを防ぐには、事前にしっかりと市場調査を行い、入居者のニーズを見極めることが大切です。また、管理会社と連携し、募集活動やリフォームなどで物件の魅力を高める工夫も求められます。
3. 金利上昇により返済負担が増す
ローンの金利が変動型の場合、経済状況の変化によって金利が上昇すると、返済額も増加します。特に借入金額が大きいアパート経営では、金利上昇の影響が経営全体に及ぶおそれもあるのです。
対策としては、「固定金利を選ぶ」「自己資金比率を高める」「返済計画に金利上昇を織り込んでおく」といったことが有効です。無理のない資金計画が安定経営のカギとなります。
4. 管理会社選びを誤ると経営リスクが高まる
管理会社の質によって、入居率や入居者満足度は大きく変わります。対応が遅かったり、トラブル処理が雑だったりすると、クレームや退去に発展する可能性が高まるでしょう。
管理会社の選定では、費用だけでなく、対応スピードや実績なども重視しなければなりません。信頼できる管理会社との関係構築は、空室リスクやトラブルを軽減し、オーナーの負担を大幅に減らしてくれます。
5. 老朽化による修繕費用がかさむ
築年数が経つにつれて、建物の老朽化による修繕が必要になります。外壁塗装や配管交換、防水工事などは数十万~数百万円かかることもあり、長期的な資金計画が重要です。
定期的なメンテナンスを怠ると、資産価値の低下にもつながります。毎年一定額を積立てておくことで、突然の出費にも対応しやすくなります。
6. 家賃滞納・入居者トラブルの対応が必要になる
家賃滞納は経営に直結する深刻な問題です。滞納が続くとローン返済や経費の支払いが困難になり、精神的なストレスも大きくなります。また、騒音やマナー違反などの入居者トラブルについても、対応が求められます。
家賃保証会社の利用や入居審査の厳格化、トラブル対応に慣れた管理会社の導入などが有効な対策です。
7. 築年数により家賃下落・収益減少がある
築年数が進むと、物件の魅力が相対的に下がり、家賃を下げざるをえない状況になることがあります。築古物件では空室リスクも高くなり、修繕費用の負担も大きくなるでしょう。
「立地に優れた土地を選ぶ」「定期的なリフォームやリノベーションを実施する」といった対策で、家賃水準の維持を目指す必要があります。
8. 自然災害のリスクがある
地震や火災、台風など、日本では自然災害のリスクが常に存在します。災害によって建物が損壊すれば、大きな修繕費用がかかり、入居者の退去も避けられません。
火災保険や地震保険への加入はもちろん、日頃の建物点検や耐震性の高い設計を選ぶことが重要です。
9. 想定より収益を得られないケースがある
表面利回りだけを見て投資判断すると、実際の収益が想定より下回るケースも少なくありません。空室率や維持費、税金を加味した「実質利回り」での判断が不可欠です。
現実的な収支シミュレーションを複数パターンで作成し、最悪のケースも想定しておくことが成功への第一歩です。
実質利回りについては、下記の記事をご覧ください。
10. 売却時に買い手がつきにくい場合もある
中古のアパートは流通性が低く、希望価格で売却できないことがあります。また、売却額がローン残高を下回る「オーバーローン」に陥るリスクもあります。
購入前に出口戦略(いつ・誰に・いくらで売るか)を立て、将来的な資産価値にも注目しておきましょう。
11. 税金や会計処理が複雑になる
アパート経営では、所得税・住民税・固定資産税・消費税など、さまざまな税金が発生します。加えて、減価償却や経費計上、青色申告など、会計処理の知識も必要です。
税金の種類や会計処理が多岐にわたるため、税理士など専門家に相談することで、節税の可能性を探りながら適切な確定申告が可能になります。
アパート経営の税金については、下記の記事をご覧ください。
【アパート経営でかかる税金の基本】シミュレーションや節税のコツ
12. 立地や周辺環境の変化に左右される
駅や商業施設の開発状況、学校の移転、工場の撤退など、周辺環境の変化によって賃貸需要が減少することもあります。また、人口減少が進む地域では、長期的な入居率低下も懸念されるでしょう。
こうしたリスクは、物件購入前に市場調査を徹底し、将来的な地域の再開発計画や人口動態を把握すれば、影響をある程度抑えられます。短期的な利回りだけでなく、エリアの将来性や需要の変化にも目を向けることが重要です。
13. 法改正や制度変更の影響を受けやすい
税制の改正や住宅関連法の変更などによって、計画していた経営に想定外の影響を受けることもあります。特に、相続税・固定資産税に関わる税制・法律の見直しは、収支や資金繰りに大きな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
常に最新の法制度情報を把握し、必要に応じて税理士などの専門家と連携して対応策を講じましょう。
アパート経営のメリットは?

アパート経営にはリスクもありますが、多くのメリットがあることも事実です。ここでは代表的なメリットを紹介します。
安定した家賃収入を得られる
アパート経営では、入居者がいる限り毎月安定した家賃収入を見込めます。特に、複数の部屋を持つ物件では空室が一部あっても収入がゼロにはなりにくく、長期的な資産形成に貢献するでしょう。
副業としても取り組みやすく、本業の収入と併せて家計の安定につながります。
節税効果が期待できる
アパート経営では、減価償却費や経費計上により、所得税や住民税を圧縮することが可能です。また、相続税評価額が下がるため、相続税の節税対策にもなります。
さらに、青色申告を活用することで、税制優遇を受けることができます。
青色申告については、下記の記事をご覧ください。
青色申告の優遇措置活用で効率的な資産形成を。不動産投資の確定申告ガイド
資産価値の維持と相続対策になる
土地と建物という実物資産を所有することで、将来的な売却益や賃貸収入が見込めるほか、相続対策にも有効です。特に賃貸住宅として貸し出している不動産は、相続税評価額が実勢価格より低くなる傾向にあり、資産承継時の節税効果が期待できます。
さらに、アパート経営を法人化することで、節税や事業承継がスムーズになる可能性もあります。例えば、家族に役員報酬を支払うことで所得を分散でき、法人税率の活用や各種控除により税負担の軽減が可能です。また、法人の場合は不動産ではなく「株式」として資産を承継するため、相続時の分割がしやすく、親族間のトラブル回避やスムーズな事業承継につながります。
インフレに強い資産運用になる
物価上昇時には家賃も上昇しやすく、現金資産に比べて価値が目減りしにくい特徴があります。また、借入金の実質的な負担が減るため、インフレ下でも安定した運用が可能です。
生命保険の代わりや年金対策になる
アパート経営は、生命保険の代替手段としても有効です。多くの場合、アパートローンを組む際には団体信用生命保険(団信)への加入が必要となります。団信は、契約者が死亡または所定の高度障害状態となった場合に、残りのローン残債を保険会社が肩代わりする保険です。
団信に加入していれば、契約者に万が一のことがあってもローン完済後のアパートが家族の手元に残り、家賃収入はそのまま継続されます。現金の死亡保険金とは異なり、毎月の安定した収入をもたらすため、遺された家族の生活を支える心強い備えになるでしょう。
また、老後に年金代わりの収入源として活用できる点も魅力の1つです。働けなくなっても収益を生み出し続ける資産として、安心感のある将来設計を支えてくれます。
アパート経営を成功させるためのポイント
アパート経営を成功に導くためには、デメリットを回避するための具体的な取り組みが必要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
適切な管理会社を選び信頼関係を築く
管理会社の選定では、対応スピード、家賃保証、トラブル対応の体制、エリアの実績などを比較検討しましょう。オーナーと管理会社の信頼関係が、物件の価値と入居率を左右します。
資金計画を綿密に立て自己資金を確保する
借入比率が高すぎると金利上昇や収入減に耐えられなくなります。自己資金を10~30%確保し、無理のない返済計画を立てることが大切です。突発的な修繕や空室にも対応できるよう、できる限り余裕を持って資金繰りしましょう。
空室対策と入居者ニーズに応じた差別化を図る
エリアやターゲットに合った設備や間取り、内装にすることで、競合との差別化が可能です。また、仲介業者との関係強化や積極的な広告展開も入居促進につながります。
保険加入と法的対策でリスクを最小限に抑える
自然災害や家賃滞納、入居者トラブルなどのリスクには、保険や保証サービスの活用が有効です。契約書の内容を見直し、必要な法的措置を講じることでトラブルの回避・早期解決が可能になります。
アパート経営を始めるかどうかの判断ポイント
最後に、アパート経営に踏み出す前に確認しておきたい判断ポイントを紹介します。
メリットとデメリットのバランスを冷静に評価する
アパート経営は収益性が高い一方で、いくつかのリスクを伴います。安定収入・節税効果などのメリットと、空室や初期費用などのデメリットを比較し、総合的に判断しましょう。
事業計画と出口戦略を立てられるかを見極める
アパート経営を始めるかどうか判断する上では、将来的な収支の見通しや撤退のシナリオを含めた事業計画を立てられるかが重要なポイントです。
複数のシナリオで収支をシミュレーションし、売却・相続・事業継続などの出口戦略を具体的に描けるかどうかを確認しましょう。
専門家や信頼できるパートナーに相談する
アパート経営には、法律・税務・建築・管理など幅広い専門知識が必要です。こうした分野をすべて自力でカバーするのは難しく、信頼できる専門家のサポートが欠かせません。
そのため、不動産会社や税理士、管理会社など、相談できる専門家が身近にいるか、信頼できるパートナーを見つけられる体制が整っているかは、経営を始めるかどうかを判断する上での重要なポイントになります。
もし適切な相談先が確保できていない場合は、まず情報収集から始めましょう。
アパート経営はデメリットと対策を見極めて判断しよう

アパート経営は、安定収入や節税効果、資産形成といった多くのメリットがある一方で、空室リスクや初期費用の大きさ、経営上のトラブルなどのデメリットも存在します。リスクを正しく理解し、適切な対策を講じた上で、専門家の意見を取り入れながら経営計画を立てることが大切です。
セレ コーポレーションは「アパート専門メーカー」として、アパート経営についてお客様の目線に立ってトータルサポートを行っています。アパート経営に不安を感じている方は、まずは信頼できるパートナー企業に相談してみてはいかがでしょうか。
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