アパート投資とは?メリット・デメリットと初心者向けの始め方を解説

公開日:2026.07.21

株式投資や区分マンション投資など、資産形成の手段は多くありますが、「アパート投資は自分に合うのか」が分からず迷う方もいるのではないでしょうか。

アパート投資(1棟)は融資を活用しながら運営できる一方で、空室や修繕、金利変動といった注意点もあります。

この記事では、アパート投資のメリット・デメリット、区分マンション投資や株式投資との違い、初心者向けの始め方まで整理して解説します。

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アパート投資とは一棟物件を運営する不動産投資

アパート投資とは、アパート一棟をまるごと取得して賃貸経営を行い、家賃収入や売却益を得る不動産投資の手法です。区分マンションのような1室投資とは異なり、建物全体をオーナーの判断でコントロールできる点が特徴です。

家賃収入と売却益を狙う投資

アパート投資の収益源は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2つです。

インカムゲインとは、保有中に継続して得られる家賃収入です。複数戸を所有しているため、1室が空室になってもほかの部屋の収入でカバーできる安定性があります。例えば6室のアパートで各戸の家賃が8万円なら、満室時の年間収入は576万円になります。

キャピタルゲインとは、物件を売却した際の売却価格と購入価格の差額です。立地のよい物件を適切なタイミングで売却することで、まとまった売却益が得られるケースもあります。

融資と運営で収益を伸ばせる

アパート投資のもう一つの特徴が、レバレッジ(借入を活用して自己資金以上の規模で投資し、収益率を高める効果)を生かしやすい点です。金融機関の融資を使えば、少ない自己資金でも数千万円~数億円規模の不動産を運用できます。

例えば自己資金1,000万円でも、4,000万円の融資を引いて5,000万円の物件を取得できます。家賃収入でローンを返済しながら資産形成を進められるのが、アパート投資の強みです。

さらに、区分マンション投資と違い一棟を所有するため、設備の改善・管理会社の変更・入居条件の見直しなど、運営上の判断を自分で下せます。この自由度の高さが、収益改善の打ち手を持てる理由でもあります。

アパート投資のメリット

アパート投資には、区分マンション投資や株式投資にはない特有のメリットがあります。収益の安定性・資産拡大のしやすさ・運営の自由度という3つの観点から見ていきましょう。

複数戸で空室リスクを分散できる

区分マンション投資では1室しか所有しないため、空室になった瞬間に収入がゼロになります。アパート投資は複数の戸室を持つため、一部が空いてもほかの入居者からの家賃で収入を維持できます。

例えば8室のアパートで1室が空室になっても、稼働率は87.5%を維持できます。多くの区分マンション投資で収入がゼロ(100%減)になるリスクに比べ、残り7室の収入でローン返済や諸経費を補いやすい構造と言えます。

この複数戸による安全網は、長期運営において特に重要です。需要の読みにくい地方物件では、空室リスクの分散が収益の下支えになります。

融資により自己資金以上に投資しやすい

アパート投資は、金融機関の評価を受けやすく融資を引きやすいという特徴があります。不動産を担保にした借入によって、自己資金が少なくても大きな規模で投資が始められます。

例えば自己資金が2,000万円あり、融資を活用して8,000万円のアパートを購入すれば、4倍の規模で資産形成を進めることが可能です。

ただし、借入額が大きくなるほど金利上昇の影響を受けやすくなります。変動金利のローンを選ぶ場合は、金利が1~2%上昇したシナリオでも黒字を維持できるかどうか、事前に収支シミュレーションすることが不可欠です。

設備改善や募集条件の見直しで収益改善の打ち手を持てる

区分マンション投資では管理組合のルールに縛られ、共用部の改修や設備の変更を独断では行えません。一棟所有のアパート投資であれば、設備投資・管理会社の変更・家賃設定・入居条件など、あらゆる運営判断をオーナーが下せます。

空室が増えてきた場合も、家賃を下げるだけが選択肢ではありません。宅配ボックスや防犯カメラの設置・全室Wi-Fi完備・ペット可への条件変更など、訴求力を高める改善策を自分で実行できます。

この運営の自由度が、外部環境の変化に対してオーナーが能動的に対応できる理由です。アパート投資は「持つだけ」ではなく「育てる」感覚で取り組める点が、ほかの投資手法との大きな違いといえます。

アパート投資のデメリット

メリットが多い一方で、アパート投資には事前に把握しておくべきリスクもあります。

初期費用と借入額が大きい

アパート一棟の取得には、多くの場合数千万円~数億円規模の資金が必要です。区分マンション投資のように少額から始めるのは難しく、参入ハードルが高い点は否めません。

融資を活用できる点はメリットですが、借入額が大きくなるほど金利変動の影響も受けやすくなります。日銀は2024年3月のマイナス金利解除を起点として利上げを進め、2025年12月には政策金利を0.75%程度へ引き上げました。変動金利型のローンを組む場合、返済額の増加リスクを想定した収支シミュレーションが不可欠です。

また、物件購入時には仲介手数料・登記費用・不動産取得税・火災保険料などの諸費用が物件価格の7~10%程度かかります。融資額だけでなく、手元現金の確保も欠かせません。

空室や修繕で収支が崩れることがある

複数戸を持つことでリスク分散できる反面、空室が重なると収支は一気に悪化します。例えば8室中3室が空室になると稼働率は62.5%となり、ローン返済と管理費を家賃だけで賄えなくなるかもしれません。

さらに、築年数が経過するにつれ修繕費が増加します。給湯器・エアコン・外壁塗装・屋根防水など、1回あたり数十万~数百万円の出費が突発的に発生します。修繕積立を怠ると、空室と大規模修繕が重なった局面で資金繰りが苦しくなります。

家賃相場の下落も見逃せません。築年数の経過とともに競争力が落ちれば、家賃引き下げか設備投資かの判断を迫られます。将来の家賃下落を織り込んだ上で、当初から保守的な収支計画を立てておくことが重要です。

運営を任せきりにしにくい

管理会社に業務を委託すれば、入居者対応・清掃・集金は代行してもらえます。ただし、大規模修繕の可否判断・家賃設定の見直し・管理会社の評価・融資の借り換え検討などは、オーナー自身が下す判断です。

「任せきり=放置」にしていると、空室が増えても原因分析が遅れたり、管理会社の提案をそのまま受け入れて費用が膨らんだりするリスクがあります。不動産投資は不労所得のイメージがありますが、実態は経営判断を継続的に求められる「事業」なのです。

アパート投資を区分マンション投資や株式投資と比較

アパート投資の特徴は、ほかの手法と比べることで際立ちます。区分マンション投資・株式投資それぞれとの違いを、収益性・自由度・流動性の観点から整理します。

比較項目アパート投資区分マンション投資株式投資
必要な自己資金数千万円~数百万円~数千円~
主な収益家賃収入・売却益
家賃収入・売却益配当・売却益
表面利回りの目安7~9%程度3~7%程度配当2~3%程度(銘柄によって異なる)
融資の活用大規模に可能小規模に可能基本的に不可
流動性(売りやすさ)低いやや低い高い
運営の手間大きい小さい小さい
収益改善の自由度高い低いなし

区分マンション投資より収益改善の打ち手が多い

区分マンション投資の弱点は、収益改善の打ち手が限られる点です。専有部の内装は変更できても、外壁の改修やエントランスの設備改善は管理組合の決議がなければ動かせません。

アパート投資では、空室リスクへの対策や賃料アップの戦略など、柔軟なリスクヘッジと積極経営をオーナーの判断で進められます。宅配ボックスの設置・インターネット無料化・ペット可への条件変更なども、ほかの所有者への根回しなしに実行できます。

株式投資より融資で投資額を広げやすい

株式投資は少額から始められ、スマートフォン一つで売買できる手軽さが強みです。ただし通常は自己資金の範囲内でしか投資できません(信用取引という借入手法もありますが、短期売買向けで長期の資産形成には向きません)。

アパート投資では、金融機関の融資を長期で活用できます。自己資金1,000万円でも、融資を使えば数千万円~1億円規模の不動産を運用できます。家賃収入でローンを返済しながら資産を積み上げられる点は、株式投資にはない特性です。

また、株式は企業業績や市場の動向に価格が左右されやすい一方で、賃貸アパートの収益は入居状況や賃料水準、地域の需要に左右されます。

流動性と手間はアパート投資のほうが重い

アパート投資がほかの手法に劣る点として、流動性の低さと手間の重さがあります。

株式は、市場が開いていれば比較的すぐに売却できます。区分マンションは一棟アパートより買い手層が広く、相対的に売却しやすい傾向です。一方で、一棟アパートは購入できる層が限られるため、売却まで数カ月以上かかるケースが一般的です。

手間の面でも、修繕の可否判断・家賃設定の見直し・ローンの借り換え検討はオーナーの仕事です。「買って保有するだけ」という運用スタイルは、アパート投資では通用しません。

アパート投資が向いている人

メリット・デメリット・ほかの手法との比較を踏まえ、アパート投資が自分に合うかどうかを判断する視点を整理します。

長期で資産形成したい人

アパート投資は、短期での売却益を狙う手法ではありません。家賃収入でローンを返済しながら、10~30年単位で資産を積み上げていく投資です。

数年後に現金が必要な計画がある場合は向きません。一棟物件は売却まで時間がかかるため、流動性の低さがリスクになりかねないためです。

逆に、老後の年金を補う安定収入をつくりたい人や、相続対策として資産を不動産に移したい人には有力な選択肢です。アパートが建つ土地は、更地より相続税評価額が下がるため、節税効果が期待できる点も見逃せません。

融資を活用して規模を伸ばしたい人

「手元の自己資金を大きく増やさずに、資産規模を広げたい」と考えている人に向いています。

アパートローン(不動産投資向けの融資)は返済期間10~35年で組めるため、家賃収入を返済に充てながら残債を減らしていく構造をつくれます。少ない元手で大きな物件を運用できる点が、ほかの投資手法にはない強みです。

ただし、金利上昇・空室増加・修繕費増大が重なるシナリオでも返済が続けられるか、事前に複数パターンで収支を試算しておく必要があります。最悪のケースでも、手元資金が底をつかない状態を確認してから始めるのが基本です。

物件運営を学ぶ意欲がある人

アパート投資には、管理会社に任せられる業務と、オーナー自身が判断しなければならない業務の2種類があります。

管理会社に任せられる代表的な業務は、入居者対応・クレーム処理、共用部の清掃・巡回、家賃の集金と滞納督促といった日常的な運営業務です。これらは委託することで、オーナーの手間を大幅に省けます。

一方、オーナー自身が判断すべき業務は、管理会社には代行できません。入居率が下がった原因の分析、修繕の実施可否とコスト判断、家賃が周辺相場と乖離していないかの確認、といった「経営判断」がこれにあたります。こうした判断を下すには、不動産経営の基礎知識と、数字を定期的に読む習慣が欠かせません。

裏を返せば、「こうした判断を面白いと感じられる人・学びながら改善していきたいと思える人」には、アパート投資は向いています。最初の1棟で身につけた経営感覚は、2棟目・3棟目の取得判断にも直接活きてきます。

「管理会社に丸投げして放置したい」ではなく、「事業として不動産に主体的に関わりたい」という感覚が持てるなら、アパート投資を検討する価値は十分にあるでしょう。

初心者が最初の一棟を買うまでの流れ

アパート投資は「よい物件を見つけてから始める」ものではありません。目的と基準を先に決めてから物件を探すことが、判断ミスを防ぐ上で重要です。

投資目的と予算を決める

最初に明確にすべきは「何のためにアパート投資をするか」です。目的によって、選ぶべき物件の性格が変わります。

毎月の手残り(キャッシュフロー)を重視するなら、利回りが高く返済比率(家賃収入に対するローン返済額の割合)の低い物件が向いています。資産規模の拡大を優先するなら、融資を積極的に使い規模を広げる戦略が軸になるでしょう。

目的を決めたら、予算を固めます。手元資金と、金融機関から借りられる上限額の2つを把握してください。一般的に、アパートローンの融資審査では年収・勤務先・保有資産・既存の借入状況が評価されます。事前に複数の金融機関へ相談し、借入可能額の目安を確認しておくと、物件探しがスムーズに進みます。

エリアと物件の基準を決める

エリアは、賃貸需要の裏づけがとれる場所を選ぶのが基本です。最寄り駅からの距離・周辺の人口動態・大学や企業など需要の発生源・競合物件の供給状況などを事前に調べましょう。表面上の利回りが高くても、空室率が高いエリアでは実収入が大きく下振れします。

物件の基準は、築年数・構造・戸数と間取り・利回りの4点を事前に決めておくと判断しやすくなります。例えば木造アパートは法定耐用年数が22年のため、築年数は融資期間に影響します。構造は、木造なら利回りを確保しやすく、RC造なら耐久性に強みがあります。

戸数が多いほど空室リスクを分散しやすく、単身向けの1K・1DKは需要が見込みやすい傾向があります。利回りは数字だけで判断せず、エリア需要や修繕費も含めて確認することが重要です。

収支と融資条件を確認して購入する

物件が候補に上がったら、表面利回りだけでなく実質的な収支を確認することが欠かせません。管理費・固定資産税・修繕費・火災保険料を差し引いた実質利回りに加え、現況の空室率、過去の修繕履歴、今後想定される修繕時期も確認しましょう。

さらに、融資期間と返済比率を見て、空室や金利上昇が起きても資金繰りに耐えられるかを検証することが重要です。

なお、融資条件は金融機関によって大きく異なります。都市銀行・地方銀行・信用金庫・ノンバンクで金利・審査基準・融資期間が違うため、1社だけで判断するのは避けましょう。

物件の収支試算・融資条件・エリアの需要という3点がそろって初めて、購入判断の土台が整います。「この条件なら買える」ではなく「この条件でも黒字が続く」と確認できた物件だけを検討対象にする姿勢が、失敗を防ぐ上でのポイントです。

アパート投資は資産形成の有力な選択肢

アパート投資は、複数の家賃収入による安定性・融資を活用した資産拡大・運営の自由度という3つの強みを持つ投資手法です。

一方で、初期費用の重さ・金利上昇リスク・修繕や空室への対応など、事前に把握すべきリスクも少なくありません。区分マンション投資や株式投資と比べて手間はかかりますが、経営の自由度と収益規模の大きさはほかの手法では得にくい特性です。

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< この記事の監修者 >

斎藤 岳志

FPオフィス ケセラセラ横浜代表

1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。 
百貨店、税理士事務所、経営コンサルタント会社勤務などを経て、2013年にケセラセラ横浜を開設。
信用取引や商品先物取引、FXなど様々な投資を経験し、その中で自身に一番合うと感じた大家業を2007年にスタート。不動産投資に関するアドバイスを中心としたファイナンシャルプランナーとして活動中。
金融資産は、イデコやNISAを活用しながら、実物資産は、中古ワンルームを活用しながら、
身銭を切って、自らも資産形成中のプレイヤーでもある。

TAGS: #賃貸経営  #資産承継  #資産運用 
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