アパートの固定資産税はいくら?軽減措置や注意点を解説

2025.05.27

アパート経営において継続的に発生するコストの1つに、「固定資産税」があります。固定資産税の仕組みや軽減措置を知らずに、アパート経営を始めてしまうと、想定外の支出によって収支が悪化するおそれもあります。固定資産税は、所有している土地・建物の種類や状態のほか、空室状況などによって変動するため、正確な理解と計画が欠かせません。

この記事では、アパート経営における固定資産税の基本や税額の計算方法に加え、軽減措置、支払い時の注意点などを解説します。

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アパート経営における固定資産税とは

固定資産税とは、毎年1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有している人に対して課税される税金のことです。

税額は自治体によって算定される「固定資産税評価額」をもとに計算され、自治体から送付される納税通知書に従って支払います。固定資産税評価額の見直しは3年に1度行われ、土地・建物の状態や周辺環境の変化によって税額も変動します。

アパート経営者にとっては、収益性に直結するコストであるため、仕組みや関連制度を正しく理解し、節税対策を講じることが大切です。

固定資産税の課税対象

固定資産税の課税対象となる資産には、「土地」「建物(家屋)」「償却資産」の3つがあり、アパート経営では主に土地と建物(家屋)が該当します。

納税先は、原則として固定資産が所在する自治体です。多くの自治体では、年4回(5月・7月・12月・2月頃)の分割納付が基本ですが、年2回の納付や、税額が少ない場合には一括での納付になることもあります。納付方法や回数は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

都市計画税との違い

固定資産税と併せて課される可能性のある税金に「都市計画税」があります。都市計画税とは、道路や下水道など都市基盤の整備に必要な費用をまかなうための税金のことです。固定資産税は使途が特定されない一般財源となる普通税であるのに対し、都市計画税は都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるための目的税となります。

都市計画税の課税対象は、都市計画法にもとづいて指定された「市街化区域」の土地や建物です。市街化区域は、今後10年以内に計画的に市街地として発展させるエリアを指します。

そのため、市街化区域にある土地や建物には、固定資産税と併せて都市計画税も課税されることになり、立地によっては税負担に大きな差が生じます。

なお、都市計画税も納税通知書に一括で記載されることが多く、固定資産税との合計額として納付するケースが一般的です。

固定資産税と固定資産税評価額の算出方法

固定資産税の仕組みを理解しておくことで、将来のコスト見通しを立てたり軽減措置を活用したりする際に役立ちます。ここでは、固定資産税の計算方法と固定資産税評価額の算出方法を見ていきましょう。

固定資産税の税率と算出方法

固定資産税の標準税率は、地方税法によって1.4%と定められており、自治体が税率を設定する際の基準となります。ただし、財政状況などに応じて必要がある場合は、標準税率とは異なる税率を定めることができます。

固定資産税の計算式は、下記のとおりです。

<固定資産税の算出方法>
固定資産税評価額×1.4%(標準税率)=固定資産税額

なお、固定資産税評価額が大幅に変動した年には、「負担調整措置」が設けられ、課税額の急激な増減を抑制する仕組みもあります。そのため、固定資産税評価額が大きく上がった年でも、税額の上昇幅が一定に抑えられるのです。

参考: 地方税法|e-Gov法令検索

固定資産税評価額の算出方法

土地や建物の固定資産税評価額は、総務省の「固定資産評価基準」にもとづいて自治体が算出します。

土地の評価は、「地目(土地の用途)」「面積」「位置」に加え、所在地に設定された「路線価」などをもとに計算します。宅地の場合、近隣の取引価格や地価公示価格とは異なり、固定資産税評価額は実勢価格の7割程度が目安です。

建物については、「構造(木造・鉄骨造・RC造など)」「延床面積」「築年数」「設備内容(エレベーター、オートロックなど)」などが評価の基準です。評価額は築年数の経過により減価されるため、築20年を超えると評価額は低くなる傾向があります。

固定資産税評価額は、課税明細書や固定資産評価証明書で確認でき、相続や売却時の資料としても活用されます。

固定資産税は経費計上できる?

アパート経営において発生する固定資産税は、不動産所得の必要経費として計上が可能です。経費計上することで課税所得が減少し、結果として所得税や住民税の負担を軽くできます。ただし、経費として認められるのは、固定資産税が賃貸収入と関連している場合に限られるため、自宅兼アパートのような場合には、居住部分と賃貸部分の按分処理が必要になるケースもあります。

必要経費として計上できるのは、原則として納税通知書に記載される固定資産税の金額です。実際の支払時期ではなく、1月1日時点で所有していた土地や建物にかかる固定資産税を、その年の必要経費として計上します。

また、納税通知書や領収書などの証拠書類は、原則として7年間保存する必要があるため、注意しましょう。青色申告を行う場合は、複式簿記による記帳も求められます。

アパート経営における固定資産税の軽減措置

アパート経営では、固定資産税の軽減措置が適用される場合もあり、数十万円単位で節税できることもあります。ここでは、アパート経営における固定資産税の軽減措置についてご紹介します。

アパート経営では「小規模住宅用地の特例」が適用される

アパート経営では、固定資産税の軽減措置として「小規模住宅用地の特例」が適用されます。住宅1戸あたり200平方メートルまでの土地部分について、固定資産税の課税標準額は評価額の6分の1、都市計画税は3分の1に軽減される制度です。

小規模住宅用地の特例は、「住宅用地の軽減措置」の一環で、土地の上に住宅を建てると、その土地は「住宅用地」として扱われ、固定資産税が軽減されます。

■住宅用地の軽減措置

区分対象面積固定資産税の軽減率都市計画税の軽減率
小規模住宅用地住宅1戸につき200平方メートル以下の部分6分の13分の1
一般住宅用地小規模住宅用地以外の住宅用地3分の1原則3分の2

例えば、400平方メートルの土地に10戸のアパートを建てた場合、小規模住宅用地として認められる上限は「200平方メートル×10戸=2,000平方メートル」です。敷地面積の400平方メートルは上限内に収まるため、土地全体が特例の対象となります。

参考:住宅用地及びその特例措置について|東京都

新築アパートには「新築住宅に係る固定資産税の減額措置」が適用される

新築アパートは、「新築住宅に係る固定資産税の減額措置」が適用され、建物部分の固定資産税額が2分の1に減額される場合もあります。

減額される期間は、アパートの構造や階数によって異なり、一般の住宅であれば3年間、3階建て以上の耐火構造または準耐火構造の住宅(マンションなど)であれば5年間です。さらに、国土交通省が定めた基準を満たす「認定長期優良住宅」の場合、一般住宅は5年間、3階建て以上の耐火構造または準耐火構造の住宅は7年間に延長されます。

新築住宅に係る固定資産税の減額措置の主な適用条件は、下記のとおりです。

<新築住宅に係る固定資産税の減額措置の主な適用条件>
2026年3月31日までに新築された住宅であること
・一戸建て以外の貸家住宅(賃貸住宅)であること(居住用)
・一戸あたりの床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること
・店舗兼住宅などの併用住宅では居住部分の割合が全体の床面積の2分の1以上であること

また、土砂災害特別警戒区域等の区域内に立地する一定の住宅は対象外となる場合もあります。

新築住宅に係る固定資産税の減額措置を受けるためには、原則として不動産を取得した年の翌年の1月31日までに、自治体の窓口に申告書を提出しなければなりません。ただし、一部の自治体では申請が不要な場合もあります。申請が必要な場合、申告に必要な書類は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。認定長期優良住宅の場合は、認定通知書の写しも必要となる場合があります。

減額措置が適用されているかは、毎年4~6月に送付される納税通知書で確認できます。

参考:新築住宅に係る税額の減額措置|国土交通省

軽減措置以外の節税ポイント

小規模住宅用地の特例や新築住宅に係る固定資産税の減額措置以外にも、アパート経営における節税のポイントはいくつかあるため、確認していきましょう。

<アパート経営における節税ポイント>
・青色申告特別控除(最大65万円)を活用する
・法人化する
・設備修繕費を即時償却する

特に法人化は、所得が900万円を超えるような場合に有利になることも多いため、長期経営を見据えた節税対策として検討するのも1つの方法です。

固定資産税の支払い時における注意点

固定資産税は毎年発生する継続的な支出であるため、支払い漏れや管理ミスを防ぐ必要があります。固定資産税の支払い時の注意点は、下記のとおりです。

納付書に誤記がないか確認する

納税通知書には、「対象不動産」「課税評価額」「税額」「納付期限」「軽減措置や特例適用の有無」といった納税に関する詳細が記載されています。売却や用途変更などで前年から変更があった場合は、誤記がないか慎重に確認することが大切です。

内容に不明点があれば、自治体に問い合わせましょう。

延滞すると延滞金が発生する

納付期限を過ぎると、延滞金が発生します。延滞金の利率は、納期限の翌日から1ヵ月を経過する日まで年2.5%、それ以降は年8.7%です。ただし、利率は見直されることがあるため、確認が必要です。

期日管理が不安な場合は、口座振替など自動支払を設定すると安心でしょう。

参考:税金の支払い|主税局

自治体ごとに異なる納付方法がある

固定資産税の納付方法は自治体ごとに異なるため、複数の自治体で不動産を所有している場合は注意しなければなりません。

納付方法には、口座振替やeLTAXでの電子納付に加え、クレジットカード、PayPay、au PAY、d払い、楽天ペイなどに対応している自治体もあります。納付方法によっては、手数料がかかったり、少額の割引が適用されたりするため、事前に納付先の自治体で方法を確認しておくと安心です。

相続時は納税義務者を確認する

相続が発生した場合、固定資産税は1月1日時点で固定資産を所有している人に課税されます。そのため、相続発生後に相続登記や現所有者申告が遅れると、亡くなった方宛てに納税通知書が送られるなど、トラブルが生じることもあります。相続人が複数いる場合、納税義務も共有されるため、責任の所在を明確にしておくことが大切です。

名義変更を完了するまでに通知書が届いた場合は、相続代表者が支払うなど、柔軟に対応しましょう。

空室・空き家の扱いで軽減措置を失うこともある

長期間放置されたアパートが住宅用地として認められない場合、固定資産税の軽減措置が適用されず、最大6倍に増額されるリスクがあります。

さらに、倒壊や衛生上の問題などがあると判断され「特定空家等」に指定されると、行政代執行の対象になる場合もあります。

広告や内覧対応による空室対策のほか、定期的な建物の点検、清掃など、対策を講じることが大切です。

税負担を抑えて賢くアパート経営をしよう

アパート経営において、固定資産税は無視できない経費の1つです。評価方法や税率の仕組みを理解し、軽減措置を積極的に活用することで、年間数十万円単位の節税も可能になります。

税金に関する手続きを正しく行うことは、安定してアパート経営を続けるためには欠かせません。固定資産税についての理解を深め、専門家の助言も得ながら、無理のない経営計画を立てましょう。

セレ コーポレーションは「アパート専門メーカー」として、アパート経営についてお客様の目線に立ってトータルサポートを行っています。固定資産税の納付をはじめ、アパート経営に不安を感じている方は、まずは信頼できるパートナー企業に相談して、今後の経営計画を明確にするところから始めてみてはいかがでしょうか。

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